【土用の丑の日とは】なぜ『土用の丑の日』にうなぎを食べるの?由来と意味、夏バテを防ぐ『う』のつく食べ物

1. 夏になると聞く「土用の丑の日」。なぜうなぎを食べるの?

夏の盛りになると、スーパーや街の至るところで見かける「土用の丑の日」「うなぎ」の文字。「夏といえばうなぎ」という風習は当たり前のように定着していますが、ふと疑問に思ったことはありませんか?

「そもそも『土用の丑』ってどういう意味?」 「なぜ他の魚ではなく、うなぎなの?」

家族や子どもに「なんでうなぎを食べるの?」と聞かれたとき、すっきりと答えられる人は意外と少ないかもしれません。

実は、この習慣の裏には江戸時代の天才が仕掛けたあっと驚くストーリーと、現代の医学でも裏付けられる先人たちの緻密な健康の知恵が隠されているのです。

2. 【歴史と由来】実はうなぎの旬は「冬」!?平賀源内が仕掛けたマーケティング戦略

「夏バテ防止にうなぎ」と聞くと、夏こそがうなぎの旬だと思われがちです。しかし、天然のうなぎの本来の旬は「秋から冬」(10月〜12月頃)です。冬眠に備えて脂がたっぷり乗る時期こそが、一番美味しい季節なのです。

【江戸時代に起きた逆転劇のストーリー】

江戸時代、あるうなぎ屋の店主が悩んでいました。「夏場はこってりした蒲焼きが売れず、お店が閑古鳥だ…」。困り果てた店主は、当時の有名人であり発明家・蘭学者でもあった平賀源内(ひらが げんない)のもとへ相談に駆け込みました。

源内は一考し、紙にこう書いて店先に張り出すよう助言しました。 『本日、土用の丑の日。うなぎの日』

当時、「土用の丑の日に『う』のつく食べ物を食べると夏バテしない」という風習がうっすらと存在していました。源内はその風習と店を巧みに結びつけたのです。この看板を見た江戸の人々は「今日はうなぎを食べなきゃ!」と店へ押し寄せ、大繁盛。これを見た他のうなぎ屋もこぞって真似をし、全国に広まったと言われています。

つまり、「土用の丑の日にうなぎを食べる」という習慣は、日本最古のヒット・マーケティングキャンペーンだったのです。

3. 【意味と仕組み】そもそも「土用」と「丑の日」ってなに?暦の雑学

今年(2026年)の夏の「土用の丑の日」は 7月26日(日) です。

単なる商業戦略だったとはいえ、ベースにある「土用の丑」という暦(こよみ)には深い意味があります。

「土用(どよう)」とは?

古代中国の「陰陽五行説」では、世の中のすべて(木・火・土・金・水)を季節に当てはめました。春=木、夏=火、秋=金、冬=水。そして余った「土」は季節の変わり目(各季節が終わる前の約18日間)に割り当てられました。つまり「土用」は年に4回存在します。一般的に「土用の丑」と言う場合は、最も暑さが厳しい「夏の土用(立秋の前)」を指します。

「丑の日(うしのひ)」とは?

昔の日本では、日付を「十二支(子・丑・寅・卯…)」で数えていました。12日ごとに「丑の日」が巡ってきます。つまり、「夏の土用(約18日間)」の中に巡ってくる「丑の日」が、いわゆる「土用の丑の日」です。(※年によっては18日間に2回丑の日が巡ってくることもあり、2回目を「二の丑」と呼びます)。

4. 【栄養と信頼】科学的にも正解だった!うなぎが夏バテに効く明確な理由

平賀源内の売り込みから始まった習慣ですが、現代の栄養学で見ても「夏のうなぎ」は理にかなった最高のスタミナ食であることが証明されています。

  • ビタミンA(粘膜の保護・免疫力アップ): ほんの100g(約1串)で、成人が1日に必要なビタミンAを十分に摂取可能。肌や鼻・のどの粘膜を健やかに保ち、夏風邪を防ぎます。
  • ビタミンB1(疲労回復の特効薬): 糖質を効率よくエネルギーに変える栄養素。不足するとだるさや食欲不振を引き起こします。うなぎのビタミンB1含有量は魚介類トップクラスです。
  • DHA・EPA(血液サラサラ効果): 生活習慣病予防や脳の活性化に役立つ良質な脂質が豊富です。

猛暑で汗をかき、エネルギー消費が激しい夏において、少量で高栄養なうなぎはまさに「夏バテ予防の特効薬」だったのです。

5. うなぎだけじゃない!夏バテを防ぐ『う』のつく食べ物5選

「うなぎが身体に良いのは分かったけれど、最近は高価でなかなか手が出ない…」「子どもがうなぎのタレや骨を気にして苦手…」という方も多いのではないでしょうか?

ご安心ください。本来の風習では、うなぎに限らず「『う』のつく食べ物」を食べることが縁起が良く、夏バテ防止になるとされていました。

昔から「丑(うし)の日」には、「『う』のつくものを食べると無病息災で夏バテしない」という食の風習(語呂合わせ)がありました。縁起を担いで暑い夏を乗り切ろうという、ゲン担ぎの意味合いが強かったのです。

明日からすぐに試せる「う」のつく代表的な食べ物と、その栄養効果をご紹介します。

① 梅干し(うめぼし)

クエン酸が豊富に含まれており、体内の乳酸(疲労物質)を分解して疲労回復を早めます。また、酸味が唾液や胃液の分泌を促し、落ちた食欲を復活させてくれます。汗で失われる塩分補給にも最適です。

② うどん

暑さで食欲がないときでも、ツルッと喉ごし良く食べられる冷やしうどんは夏の味方。消化吸収が良いため、弱った胃腸に負担をかけずにエネルギー(糖質)を効率よく補給できます。豚肉やネギをトッピングすればビタミンB1も同時摂取できます。

③ 瓜(うり:きゅうり・スイカ・冬瓜・ゴーヤなど)

「ウリ科」の野菜や果物は、水分とカリウムが非常に豊富です。カリウムには利尿作用があり、体内の熱を尿と一緒に逃がす効果(解熱作用)があります。火照った身体を自然にクールダウンしてくれます。

④ 牛肉(うし)

「うし(牛肉)」も絶好のスタミナ源です。良質なタンパク質と、鉄分・亜鉛などのミネラルが凝縮されています。冷房による血行不良や夏の貧血予防に効果的で、ガッツリ食べてパワーを補給したい時におすすめです。

⑤ 馬肉(うま)

低カロリー・高タンパク・高鉄分で知られる馬肉。グリコーゲンというエネルギー源が牛肉の数倍含まれており、即効性のある疲労回復効果が期待できます。

6. 【まとめ】先人の知恵を美味しく取り入れて、猛暑を軽やかに乗り切ろう

「土用の丑の日」の歴史と意味を振り返ってみましょう。

【今回のポイントおさらい】

由来: 江戸時代の平賀源内が「冬が旬のうなぎ」を夏に売るために仕掛けたキャッチコピーが始まり。

意味: 「土用」は季節の変わり目(体調を崩しやすい時期)。「丑の日」に「う」のつくものを食べて養生する先人の知恵。

対策: うなぎはもちろん、「梅干し」「うどん」「瓜」「牛肉」など『う』のつく食べ物でしっかり栄養補給!

土用の丑の日は、単なる「うなぎを食べる日」ではなく、「夏の暑さで疲れが出やすい時期に、自分の体をいたわる日」です。

うなぎを贅沢に味わうのもよし、冷やしうどんに梅干しを添えてサッパリ食べるのもよし。今年の土用の丑の日は、ぜひ『う』のつく食べ物を食卓に取り入れて、家族みんなで元気に夏を乗り切りましょう!