【迷いも遠回りも、すべて自分だけの深みになる】元乃木坂46・伊藤寧々さんが語る「私らしさ」の育て方

今回お話を伺ったのは、元乃木坂46のメンバーであり、現在はインフルエンサーを中心に、複数の仕事に携わっている伊藤寧々さん。

寧々さんが歩んできた軌跡と、「変わり続けたからこそ、今は目の前のことを継続する強さと意味を知った」過程を伺いました。

「みんなと同じ」になれなかった少女時代と、湧き上がる衝動

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寧々さんはアイドルグループ「乃木坂46」の初期メンバーとして活躍され、現在は一人の表現者としてご自身の軸を持って活動されています。

けれど、その原点には「型にはまれない自分」との向き合いがあったのですね。



そうなんです。私、幼少期は学校というシステムや環境に馴染むのが本当に苦手で…。

みんなで同じ時間に、同じ場所に通って、同じことをこなすという日常にどうしても居心地の悪さを感じてしまって、一時期は家に引きこもりがちになっていたこともありました。


周囲が当たり前にできていることに違和感を覚えるのは、子供心にとてももどかしく、居場所を探し求めていた感覚だったのではないでしょうか。

すごくモヤモヤしていましたね。周りの大人たちもどう接していいか焦っていたと思いますし、自分自身もどうすればいいのか分からない。

そんな中で唯一の心の救いだったのが、本屋さんに行って過ごす時間だったんです。


その本屋さんでの時間が、すべての始まりだったんですね。

そうなんです。もともと本や雑誌を見るのが大好きで、本屋さんにいる時だけは自由に好きな世界に没頭できた。

そこで偶然見つけたファッション雑誌のオーディションに応募したのがきっかけでした。それが養成所への道に繋がり、そこから私の世界が一気に開けていったんです。

当時から「これだ」と信じたことはやってみる、という気持ちが強くあり、実際に行動に移すようにしていました。


自分に合う環境を模索していた少女が、自分の「好き」を見つけた瞬間、猛烈な行動力を発揮し始めたんですね。

本当にそうですね。当時は地元を飛び出したい一心でした。

「高校進学のタイミングで東京に行く」と決め、両親を説得して15歳の時に上京できる環境を整えてもらいました。当時の両親がしてくれた全力のサポートは、本当に感謝をしてもしきれません。

当時は不安なんて一切なくて、どこか無敵な感覚すらあった。

今振り返ると、自分の違和感に蓋をせず、ワクワクする衝動に従って外の世界へ飛び出して本当に良かったと思っています。


華やかな世界の裏側にあった比較

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上京して、レッスンに打ち込む中で「乃木坂46」のオーディションに合格し、華々しいデビューを果たされます。
夢だったエンターテインメントの世界に入ってみて、いかがでしたか?


それまでの生活からはがらっと世界が変わりました。

具体的には歌やダンスのレッスン、レコーディング、MV撮影に取材やテレビの収録など、憧れていた世界で思い描いていた仕事に緊張しながらも、楽しい時間を無我夢中に過ごしていました。


お互いを尊重し高め合える、理想的な環境だったのですね。

しかし、グループとしての活動が本格化するにつれて、状況は変わっていったのでしょうか。

はい。
グループという大きな組織の中に入ると、どうしても「比較」が目に見える形になってきます。周りのメンバーの中には「この世界で絶対にこうなりたい」という強い目標や意志を持って自分と戦っている人もいて。

それに比べて私は、「東京に出る」という最初の目的を果たしてしまったこともあり、次の明確なゴールを見失っていたんです。

目標を持って輝いている子たちの眩しさに影響されて、ずっと周りと自分を比較しては「自分なんて」と思い込んでいました。

目まぐるしいスケジュールや、目に見える立ち位置の変化も影響していたのでしょうか?

そうですね。数ヶ月先、1年先までのスケジュールがシステムとして決まっていて、もの勢いで進んでいってしまう時間に、窮屈さと怖さを感じてしまいました。

大人たちの評価や世間の目にも過敏になり、「ここに私の本当の居場所はあるのかな」「私らしさって何だろう」と、ぐるぐると悩み続けていました。

でも、今思えば、先々のスケジュールが決まっていることは本当に凄いことで、感謝しなければいけないことだったなと思います。


変化を選び続けた過去から、「続ける強さ」を知った現在へ

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当時の寧々さんは違和感をそのままにせず、グループを離れるという大きな決断をされました。当時と今で、意識の変化はありましたか?

若い頃の私は、目標が見えなくなったり生きづらさを感じると、方向転換を選ぶタイプでした。でも、芸能界を一度離れて、結婚して自分の人生をじっくり歩むようになってから、感覚が大きく変わりました。

昔は「継続は力なり」が少し苦手でしたが、今の私は、「なぜ継続が力になるのか」という理由がすごくわかるようになったんです。

変化を選び続けた先で、ありがたいことに今、私は自分が本当に好きな仕事を選べる自信がつきました。

だからこそ、たとえ一時的に明確な目標を見失う瞬間があったとしても、焦らずに目の前のことを続けていけるようになった。

変化することだけが正解ではなくて、「思い通りにいかない時期があっても、諦めずに続けていくこと」が持つ強さと価値を、今はようやく実感できるようになりました。

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世間の常識や他人の価値観に合わせるのではなく、「自分は自分」という軸を貫いて生きる。その決断力は、寧々さんのどこから湧き出てくるのでしょうか?


「人間にはいつか絶対に終わりが来る」ということを意識して生きています。

終わりに向かって生きているのだから、苦しいことに心を縛られるより、自分の心がワクワクすることに時間を使いたい。

人生という限られた時間の中で、「ここは自分が自分らしくいられる場所ではないな」と感じたり、心が曇ってしまうような環境に留まり続けるのは勿体ない。

ただ、大人になって感覚も変わり続けていて、何でもかんでも嫌なことにぶつかりすぐに方向性を変えるのではなく、少し留まってやり続けてみるという方法も取れるようになってきました
白か黒かだけではなく、グレーの気持ちもあってもいいというが今の考え方です。

方向転換して道を開いてきた時代があったからこそ、今「続けていくこと」の本当の価値に気づけたんですね。


模索の果てに宿る「純度」と、濁らない未来への言葉

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グループを卒業し、一人の表現者として再スタートを切られてから、お仕事への向き合い方や作品選びにはどのような変化がありましたか?


1人になってからすぐは、私は選べる立場にないと思い、仕事を選ばずに受けていた時期もあります。

でも、それは過去の私や応援してくれていた人を大切に出来ていないような気がして、考え方を改めました。

過去の肩書だけで評価されるのではなく、「今の伊藤寧々」という人間を見てくれているか、そのお仕事やプロジェクトに愛があるかを一番に考えるようになりました。

世の中にはいろんなビジネスやプロモーションがありますが、誰かを否定したり、何かを持ち上げるために他を比べるようなやり方は選ばたくない。

効率や条件だけを求めて自分の感覚を偽るくらいなら、自分が本当に良いと思えるもの、胸を張れるものだけに誠意を持って向き合いたいんです


順風満帆な成功ではなく、悩み、試行錯誤しながらも自分の足で一歩ずつ進んできたんですね。

そのプロセスがあるから、自分の本心に素直に向き合っているからこそ、しなやかな強さを感じます。

色々な経験を重ねてきたからこそ、周りの人やファンの方々に対しても自然体で誠実な信頼関係を築けているんですね。

そう言っていただけると嬉しいです。昔から応援してくださる方々も、私が迷いながらも進んでいく姿を見守ってくれていて、どこか親目線や友達のような温かさで寄り添ってくれている。

そういう人たちを大切にするためにも、私は私らしく、自分に素直に歩み続けたいです。

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最後に


私たちはつい、「劇的変化」か「真っ直ぐに継続」かの二者択一で白黒つけてしまいがちです。

でも、伊藤寧々さんが教えてくれたのは、その両方を経験してきた人だけが持てる「しなやかで芯のある生き方」でした。

型に収まらなかった少女時代、勇気を持って環境を変え続けた20代、そして、結婚を経て “続けることの本当の意味” を知った現在。 方向転換の先で培った確信があるからこそ寧々さんは今、目の前の日常や仕事を丁寧に愛して積み重ねていくことができているように見えました。

変化も、継続も、すべては自分が自分らしく生きるためのプロセス。 回り道すらも糧にして変化を楽しんで味わう姿勢が、私たちの未来をひらいてくれるのかもしれません。