
今回は、株式会社禊(みそぎ)の代表・岡崎さんにお話を伺いました。
「禊(みそぎ)」って名前を会社につけるって、どんな人なのだろう?
というのが、私が抱いた最初の疑問でした。
こちらの質問に対して一切飾ることなく自身の生き方と哲学を語ってくださり、自分と日々深く向き合い、まさに禊のように清める姿勢を言葉の節々から感じました。
あまりにも濃密で、発する言葉に根拠と説得力がある岡崎さんのエピソードをお届けします。

1. 「日々、尖り続けている」
深く内省を繰り返すことで紡がれる信念と思想
岡崎さんが大切にしている「哲学」はありますか?
過去の延長線上の生き方を壊し、自らの本質を掘り起こす生き方を大切にしています。そして、その過程を「禊(みそぎ)」と呼んでいます。
自身の「哲学」を「みそぎ」と呼んでいるのが面白いですね…!「自分が尖っているな」と感じることはありますか?
年々尖りが増していると感じています。特に初めましての方や、まだ関係がない方、もしくは久しぶりの方に会う時に感じることが多いです。
というのも、自分自身が世の中、もしくは世界と対峙する上での「自分なりの世界の切り取り方」があるからです。
それは、もともとはなかったのですか?
前職を卒業し、法人設立する過程で出会った人との対話から明確になっていきました。
ある種、この会社は「自分の作品を世の中に送り出した」とすると、作品を出した後、人と会いながら対話していくことで、自分の中でさらに確固たるものになってきました。
様々な人との対話を繰り返し、また伝え方のレパートリーが広がっていく経験のおかげで、年々深まっているのかなと思います。
2. 成功法則への違和感と、生きやすさ・生きづらさの「共存」
自分の中で哲学が確立されたことで、生きやすくなりましたか?
それは、両方ありますね。
自分の生き方に対する納得度、信頼度は増したので、生きやすくなったと感じる部分があります。
それと同時に、人や世の中で「成功法則」というか、「こうしておけばいい」と言われていることとの違いが出てくるので、生きづらさも同時に感じるようになりました。
どんな成功法則に対して、違うなと思いますか?
他社と違ってどういった部分が強みで、どんな商品を持っていて……という分かりやすいマーケティングに落とし込んでいくのが、特に独立初期においては成功法則と言われることが多いと思うんです。
ですが、私の場合だと「思想売り」になるので。
「何をやっているか」より、「どういう生き方をするといいんだっけ?」ということを伝えているので、一般法則からすると分かりづらいです。
それを今、貫いていてよかったなと思うのはどんな時ですか?
「会いたい人と出会える、つながれる感覚」が定期的にある瞬間ですかね。
でも、自分の生き方を貫こうとする一方で、社会を否定するのではなく、今の社会と「共存」する姿勢を大事にしています。
そうすると、世の中の常識や当たり前に100パーセント飲まれるのではなく、自分を確立していこうとしてる方や、もしくは今の世の中に対する違和感を感じている方と出会うことが増えましたし、仲良くなりやすいと感じます。
そして、繋がった人同士を繋ぐことにも喜びを感じるので、社会に対して少しずつ良い流れを提供できている感覚があります。
「共存」というのは、結構大事にされているテーマなんですか?
そうですね。特に「誰かが悪い」とか「何かが悪い」ということではなくて、人それぞれ信念や生き方、考え方があると思うので。
他者を否定するというより、色んな考え方がある中で自分はどうかという「社会との調和や共存」という視点を大切にしています。
なので私の話し方も、断定形よりは「自分はこう思う」という表現の方が多いと思います。
確かに、いつも柔らかい印象を受けるのですが、話し方や語尾は気を使われているのでしょうか?
そうですね、言葉は記号なので。その記号をどう使うか、意識しています。
できる限り、相手に伝わる言葉選びや表現を努力するようにしています。

3. 自分を保つサイクルと、「エゴと挫折」
現代社会の課題として「自分を大事にしながら、他者と共存するバランス」があると思いますが、どうバランスを保ってますか?
自分が一体どのようなことを感じ、どんな信念を持っているのかを普段から振り返っています。
例えば、人と会う前に「この人とどんな時間を過ごせたらいいか」を準備をし、終わったら「実際どういう時間を過ごせたのか」を多面的な視点から振り返り、自分の言動を見直す。
この「準備・実践・振り返り」というベースは、ほぼ無意識の習慣に近いような感じで、社会人になってから……まあ、飲んで忘れちゃう日以外は(笑)ずっとやっているので、それで自分を保っています。
一方で、自己中心主義にならないよう、他者からのフィードバックや自分の心が落ち着いた状況で向き合って話すことも大切にしています。
自分に対する「エゴだけで生きてないか?」という点は常に気をつけるようにしていますね。
「今でこそ」ということは、過去は違ったのでしょうか?
まさにその通りで、過去の自分は……前職が良い意味で資本主義のど真ん中の会社だったんです。
成果を上げるための成功法則、数字のゲーム的な側面が強い会社でした。
自分の内面的な部分を、20代後半まではないがしろにしてたなと思います。
ただ、社会人6年目にマネジメントを経験し始めてからは、その「イケイケどんどん」「こうすればうまくいく」っていう自分が、上手く成果を上げられなくなったんです。今思えば良い挫折を経験しました。
そこで「世の中との向き合い方をどう変えたらいいんだろう」と悩みました。その中で「イケイケどんどんで自分はできるんだ」という思い込みが良い意味で壊れ、「自分はそもそも人を尊重することが個性だったな」と気づいて、尊重型のリーダーシップでマネジメントをしていこうと決めました。
そこから、人の個性を生かすことができ、最終的に事業成果に繋がるという経験も出来て、どんどん流れが変わっていったように思います。
4. 殴り合いのケンカと積み上げ続けた成功体験
気づくために、きっかけとなる大きな出来事があったんですね。
そうですね。自分の場合は、この「変わらざるを得ない環境」に身を置けたということが、今振り返ると幸せだったと思います。
成果至上主義の環境の中で、過去の自分に固執しても成果が出ないということに対する向き合いもそうですし……。
年を重ねるごとに自分のやり方に固執しやすいですが、岡崎さんはそこで自分を変えられたのがすごいです。
「自分の考えに固執していくほうがうまくいかない」という感覚が大きかったのと、比較的、自分は「何かから学んで自分の糧にしよう」という素直さがあったかなと。
ただ、自分の作り上げた価値観に対する頑固さはあるので、壁に当たった時「壊さざるを得ないな」というふうに思えたのは、「何かを変えた方が、次のきっかけにつながる」という感覚が体の中にあったからかなと思います。
それは小さい頃の経験からも来ているのでしょうか?
そうですね。自分は父親が理系の研究職で企業で役員をしていて、母親は専業主婦。息子は将来医者になってくれるんじゃないかと希望を持っていて、小学生から「ブラック・ジャック」を読まされていて、僕は「医者になるんだ」って思っていたんです。
だけど、高校生の時に父親と殴り合いの喧嘩をして、「俺はお前みたいにならない」と言い放って文系を選択しました。
ただの反抗期だったと言えば、まあそこまでなんですけど…。
「敷かれたレールで生きたくない」と思っていたからこそ、「レールから外れてしまったから、自分でその道を何とかするしかない」という風に変換して考えていたのかなと思います。
自分が決めたこと、やるって決めたことに対してやりきる自信がありました。それは幼少期からの小さな成功体験があったからだと思います。
例えば、中学受験の時、周りが優秀で勉強ができる中で、自分がトップではない環境だったからこそ、当たり前の基準を高く持てました。
中学受験の塾に行きながら、将棋を打ち込み、熱中して、気づいたら志望校に合格することができたという経験もあります。
自分が決めたことに対して、何か形にできるんだっていう信頼は、人生を通して学んできたと思います。

5. 葛藤の半年間を超えて。 なぜ、自分の信じた道を歩むのか
今でも世間の常識とご自身の哲学がぶつかる瞬間があると思うのですが、そういう時はどう考えて、自分の生きやすい方に進んでいきますか?
正直、今の自分は、世間の常識に対して盲目的にやってみることに対して体が動かない感覚になるんです。
自分の中での納得できる、100パーセントの意思決定を日々積み重ねるということが、習慣に近い感覚になってきたのかなとは思います。
ただ、起業した当初の半年間は、振り返るとものすごい葛藤や苦しみがありました。
その辛い時期は、どうやって乗り越えたのですか?
そんな時、「じゃあなんで起業したんだっけ?」というところに立ち返りました。本当に辛かった時は、前職を卒業する時に多くの方からメッセージや動画をいただいたので、それを見て人間らしく涙するっていう…原点に立ち返る行動をしたり。
はたまた「自分が死ぬ時から考えて、短い人生で後悔しないか?」と考えた時に、誰かに何か言われたからやるということほど後悔することはないんじゃないかな、と考えたりもしました。
6. 人の「生き様」が変わる瞬間に立ち会う喜び
今されているお仕事(企業向けの人材育成や組織開発)の中で、一番幸せに感じたり、やっていてよかったなと思う瞬間を教えてください。
今の仕事は、人との向き合い方を対面で提供しているので、人の「生き様」に立ち会う瞬間です。
色んな方と1on1という形で話すことが多いんですが、目の前の方が今までの延長線上の生き方ではなくて、「自分本来の生き方を掘り起こして、そっちの道で行くんだ」っていう、中身が入れ替わるような瞬間に立ち会えることは、たまらなく喜びを感じられますね。
7. 「僧侶のような姿勢」で自分を整え、100%外向きで対峙する
そこまで言葉がパッと出てくるのがすごいです。ご自身を整えるために、日々意識して向き合う時間を取っているのですね。
ものすごくそこは意識してるかなと思っていて。
自分の仕事を言い換えると「人にエネルギーを提供する仕事」でもあるので、自分自身のエネルギーというか、自分がいい状態、すなわち整っているかということは大事にしています。
自身が「整っているかどうか」は、どうやって判断しますか?
自分の直感的に感じたことと、そこに言葉が乗ってくるかっていうのが一番ですし、わかりやすいのは、鏡を見た時に「自分の目が曇っているか、透き通っているか」です。
「目の透明度」でセルフチェックするのは、初めて聞きました!
そこだけ言うと怪しい話みたいだから説明をすると(笑)
人って自分の内側に意識が向く瞬間と、外側に意識が向く瞬間があると思っていて。相手の話を理解するために、自分の頭の中で処理する瞬間と、相手に意識を向けて話を聞く瞬間という、内と外の行き来があると思うんです。
で、話を聞くときに解釈が強いと、自分の頭の内側だけで判断をしていくようになる。そうすると、だんだん空気感が閉ざしているような感じになるんです。内側に意識が向いている方ほど、「死んだ魚の目」みたいになりやすいですね。
なので、内側に意識を向けるんじゃなくて、誰かと接する時には外向きのエネルギーになるように気をつけています。
セルフチェックができているのが素晴らしいです。
現場や日常に戻った時に、お客様やメンバーと話してる時にいい対話ができると普段と全然違った深い話ができて、物事が前に進むんですよね。
リーダーがメンバーを理解しようとする姿勢があれば、良い方向に変わっていく可能性がある。まずは相手の言い分や考えていること、情景を知るために質問しよう、相手はそういう風に感じるんだと理解しようとするのは、基本の「き」ではありますけど、大事な姿勢かなと思います。
ビジネス界というと、どうしても現実的・短期的な売上の会話で終始しがちなんですけど、結局お客様と接するのは「人」。
人との向き合い方が改善するほど、結果的には事業成果につながりやすくなる、というのが自分の考えですね。

8. 「知覚動考(ともかくうごこう)」殻を破るためのアクション
岡崎さんが今の仕事で最終的に目指すゴール、そして100年後の未来に残したい概念とは何ですか?
「人間が人間として生きれば、それが次の世代や世の中に対しての価値になっていく」という価値観が広がっていくことですね。
今はある種、人を「機械」と捉え、一人当たりの生産性という数字に置き換える。この世界のほうが一見、最短で成果に繋がる道に見えると思うんです。
だけど、そもそも企業って人間同士の営みなのでもっと複雑で、違う価値観同士であって対立もする。お互い心が整った状況だからできる対話とか、想像もつかない打ち手を、組織レベルでやっていく。それが人間を人間として生かすということかなと思います。
自分を壊し作り直すという道が結果的に最短
その行為を、私は「みそぎ」という風に表現をしています。
日本列島を作ったイザナギノミコトが、その穢れ(けがれ)を風呂場で落とし、その後日本列島を生んだという神話の話に掛け合わせて、ちょっと強めな表現で「みそぎ」と呼んでいるんです。
営みを通して生ききる、生き抜く、地球を良くしていくみたいなところが、満足したと思える生き方なんじゃないかなと思います。
自分の世界を自分で拓いていくために、今を生きる人たちにどんなアクションが必要だと思いますか?
「まずやってみる」
僕が就職活動の時に出会ってからずっと大事にしてる言葉があります。
多くの人は、『知』って、『覚』えて、『考』えて、『止』まる。
要は「行動しない」ことを選択する人生を繰り返してしまいがちかなと思っていて。
そうではなくて、『知』って、『覚』えて、『動』いてから、『考』える。
この文字列を訓読みすると、「知覚動考(ともかくうごこう)」ってなるんです。
(鳥肌が立ちました……!)動いた先にしか見えないものがありますよね。
私自身、最初から動けたわけではなくて、偏差値高い中高に行って大学も……という、いわゆる頭でっかちな自分だったんですよね。
社会人1年目の後半に当時のメンターから、「女装をして渋谷の街を歩け」っていう宿題をもらったんです(笑)
実際に歩いてみたら、小さいお子さんからは「あの人何やってるの?」って言われるし、女子高生からはひーひー言われましたけど。
要は「人ってそんなに自分に興味ないな」と。
そんな自分がどう見られるかを考えても仕方がない、というのを体験できたので、自分の思考ブレーキが外れたきっかけになったかなと思います。

最後に
「知覚動考」を体現し、自らの哲学を貫きながら社会と共存する姿勢を大切にされている岡崎さん。その言葉のひとつひとつには、自分を洗練させ続ける「禊(みそぎ)」の精神が宿っていました。
自分と向き合い、常識にとらわれずに行動し続ける、意志の強さを伺えるインタビューでした。これから一歩を踏み出す方の背中を押す、きっかけの一記事になりますように!
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